異常な冬と、自然農の選択

畑の現場で感じる「いつも通りではない冬」。気候の揺らぎに合わせて、種まきの発想も変わっていく。

畑に立つと、今年の冬が「いつも通りではない」ことを、土と虫たちが静かに語ってくる。
自然農法で冬野菜を育てているが、今シーズンの栽培は明らかに異常だった。

冬でも止まらない虫の活動

11月末に蒔いた冬野菜の種は、ほとんどが虫の被害に遭った。
本来であれば気温が下がり、虫の活動が鈍る時期だ。しかし現実は違った。
冬であっても虫が活発に動き回り、芽吹いたばかりの小さな命を次々と食べていった。

「冬だから大丈夫」という、これまでの感覚は通用しなくなっている。
気候変動という言葉を、頭ではなく畑の現場で突きつけられる瞬間だった。

真冬に行う、少し大胆な種まき

1月中旬。暦の上では真冬である。
このタイミングで、今回は少し変わった試みをした。

冬野菜の種と、夏野菜の種を、あえて混ぜて一緒に蒔いたのだ。

複数種のタネを蒔いた場所から発芽した芽たち
複数種のタネを蒔いた場所から発芽した芽たち
  • 冬野菜:主に葉野菜
  • 夏野菜:ウリ科野菜、トマト、オクラ

種類も季節も異なる種を、分け隔てなく同じ畑に蒔く。
管理の効率や収量だけを考えれば、合理的とは言えない方法かもしれない。

気候に判断を委ねるという発想

この混播には、はっきりとした狙いがある。

  • もし寒さが続けば、冬野菜が自然に育ち、収穫できる
  • もし暖かくなれば、夏野菜が早めに芽吹き、前倒しで収穫できる

人が「今は冬だ」「これは夏野菜だ」と決めつけるのではなく、
その年、その土地、その瞬間の気候に、選択を委ねる。

自然農法の根底にあるのは、「管理」ではなく「共存」だ。
うまく育つものが育ち、合わないものは静かに姿を消す。
それもまた、自然からの正直な答えなのだと思う。

不安の時代に、しなやかに向き合う

気候変動を前にすると、どうしても不安が先に立つ。
しかし、自然農の畑では「予測できないこと」を前提に動くしかない。

だからこそ、
一つの正解に固執せず、
複数の可能性を同時に畑へ預ける。


この冬の畑は、実験であり、対話であり、そして小さな希望でもある。
どの野菜が顔を出すのか。
それを決めるのは、もはや人間ではない。