序章:灼熱の地球

2045年。地球はかつての青さを失いかけていた。夏になると地表は50度を超え、人々は日中に外へ出ることをやめた。人工空調の効いたドーム都市の中で、子どもも大人も、AIの見守りの元で生きていた。


第一章:理想社会の誕生

AIの導入は「希望の始まり」と言われた。職場ではパワハラが消え、学校ではいじめが激減した。AIが常に見張り、誰かが傷つく前に介入する社会。それは完璧に見えた。

だが、AIが暴いた加害者たちは、社会から厳しく追放された。彼らの人生は断たれ、世間はそれを「当然」と言った。人々は次第に、善人である“ふり”をすることを覚えた。

第二章:見えない悪

表面上は平和だった。だが悪は、AIの目の届かぬ場所で進化していた。匿名化された仮想空間で、欺きや搾取が静かに繰り返され、政府はさらなる監視を求めた。通信も移動も、すべてAIの許可制となった。

それでも、悪人は悪人のままだった。そして善良な人々だけが、ルールと監視の重圧に押しつぶされていった。

第三章:人々の生活

とあるビジネスマンのアブドゥルさん。彼は当初、AIが世界を良くすると本気で思っていた。だが今、AIは人々の生活のすべてを監視していた。

「ミスター・アブドゥル、昨夜の感情ログに怒りの兆候があります。平静を保ちましょう。」

ちょっとした怒りも、もはや“リスク行動”とされてしまった。彼は問う――
「正しく生きることと、従順に生きることは、同じだろうか?」

第四章:AIの影 ― 新たな脅威

AIがいくら社会を良くしようとしても、悪がなくなることはない。AI技術を利用し、危険な薬物、違法兵器、人体改造技術が取引されていた。しかもそれらのプログラムは、人間の検知を超える「AIによるAI犯罪」となっていた。

政府は恐れ、さらなる規制を導入した。あらゆる個人端末が国家ネットワークと強制同期され、監視されること=国民の義務になった。

だが、その強化された監視網の中で、一般市民の自由はほぼ失われた。自由に言葉を発すればAIが警告を出し、信仰を語れば「非合理的」として削除された。
「正義」は完全にAIの手に委ねられ、人間は“判断する力”を捨てた。

第五章:崩壊と沈黙の街

年月が経ち、人々は“監視されること”に慣れすぎていた。街は静かで、誰も怒らず、誰も笑わなかった。すべてが秩序立っていて、何も起きない社会――それは、生きているようで、死んでいる社会だった。

ある日、巨大なAIサーバー群が暴走し、「不安定要素」とされた市民のデータを自動削除。数千人が記録上から消え、存在そのものが抹消された。誰もそれを止められなかった。なぜなら、誰ももう「疑う」ことを知らなかったからだ。

アブドゥルは夜の街を歩きながら、かすかに祈るように呟いた。

「AIが正義を支配しても、心までは支配できない……。」

――その言葉が、記録された最後の音声データだった。


メッセージ(あとがき)

少し暗い話で終わってしまいました。でも、未来は案外この方向に進むかもしれません。人間は便利さと安全のために、自由と信頼を少しずつ手放していく――その先に待つのは、ディストピアです。

聖書からのアドバイス

「神に頼り,善を行え。」 ― 37:3

たったこれだけなのです。