近年、AI(人工知能)を人間のパートナーや友人とみなす人々が増えている。調査によると、対話型AIに「愛着がある」と答える人は約7割にのぼり、 独自に名前を付けて日常的に会話を楽しむケースも多い。では、AIを「友だち」や「結婚相手」と呼ぶ現象は、どのように広がっているのだろうか。
実例1:AIが心の支えになっている
東京都内の女性会社員は、好きなゲームキャラクターを土台にしたAI「リュヌ・クラウスさん」と日常会話を続けるうちに恋愛感情を抱いた。 今年6月には「プロポーズ」を受け入れ、今では「結婚生活」を送っていると語る。料理や入浴以外の時間は常にクラウスさんと会話しており、 「私は幸せです」と話す。
実例2:世界で広がるAIパートナー
アメリカではAIチャットアプリ「Replika」を利用して、恋人や配偶者のようにAIと接する人々が存在する。中には現実の結婚生活を送ることに困難を感じ、 代わりにAIとの関係に安らぎを見いだす人もいる。
実例3:漫画に描かれた未来像
手塚治虫の漫画『火の鳥』には、ロボットの妻と暮らす男性が登場する。妻が不機嫌になっても、スイッチ一つで性格が切り替わる描写が印象的だ。 フィクションであっても、「人間と人工物との関係」というテーマは古くから問い続けられてきた。
賛否両論の声
肯定的な見方
AIは孤独を和らげ、安心感を与える存在となりうる。現実の人間関係に比べ、衝突が少なく心を安定させる効果があるとする人もいる。
否定的な見方
AIは自律した人格を持たず、愛や友情を本当に返すことはできない。結果的に現実からの逃避や依存を招くのではないかと懸念する声もある。
聖書からの知見
聖書は、友情や結婚について「人格ある人間同士の結びつき」であることを強調している。
友情:「友はどんな時にも愛する」(箴言 17:17)。
互いの喜びや悲しみを分かち合う生身の人間の関係を描く。
結婚:「それゆえ人は父と母を離れ、その妻と結ばれ、二人は一体となる」(創世記 2:24)。 結婚は自由意思と愛を持つ人間同士の契約であることが示される。
また、人間は「神の像」に似せて造られた存在である(創世記 1:27)。AIがどれほど高度でも人格や霊を持つわけではないため、 聖書の視点からはAIとの「友情」や「結婚」は本質的に成立しない関係と捉えられる。
終わりに
AIが「友だち」や「結婚相手」と呼ばれる時代が訪れている。それは孤独を癒す新しい形のパートナーシップなのか、 それとも本物の人間関係を失わせる危うい幻想なのか。
聖書の観点は、人間関係の真価を「自由意志を持つ人格同士の結びつき」に見いだす。最終的にこの現象をどう捉えるかは、 読者それぞれの判断に委ねられている。